信仰と向き合いながら、出会いを探すということ 〜婚活相談所での一例〜

日常コラム、暮らしのヒント、エッセイ

当相談所では、これまでさまざまな背景を持った方々が活動されてきました。
その中には、ご自身またはご家族が特定の宗教法人を信仰されている方もいらっしゃいます。今回は、ある女性会員さまの婚活を通して、信仰と婚活がどう向き合っていくかというテーマで実例をお伝えします。

☆会員さまのプロフィールと希望条件

  • 20代後半女性(入会当時)
  • 母親が熱心な信仰者で、ご本人も同じ宗教法人を信仰
  • 信仰はあるが、将来、夫や子どもに強制するつもりはない
  • 月1回の宗教活動を理解・許容してくれる方を希望
  • 年齢は自身の年齢+10歳程度まで
  • 性格重視(優しくて穏やか、笑顔が多い方)
  • 信仰に関しては、交際の進度や状況に応じて自分のタイミングで伝えたい

当時は宗教に関するニュースが多く報道され、世間の目も厳しい時期でした。
この女性は「宗教法人と宗教団体は違う」と説明されていましたが、一般の方にはなかなかその違いが伝わらないこともあり、婚活への不安を感じておられました。

☆入会前に確認したことと、入会条件

ご本人の希望と信仰に配慮しつつも、当相談所への入会として、以下の条件を確認し提示しました。
・お見合いや交際中の方を宗教へ勧誘しないこと
・結婚後も、子どもや配偶者への宗教活動の強制はしないこと
・宗教を理由にお断りされても、相手を責めないこと
・世間の目や偏見があることを理解すること
・入会前に、私自身が宗教法人の全体会合への見学すること

実際に会合へ参加してみたところ、大規模な集まりではありましたが、物品販売や勧誘などはなく、信仰を共有する穏やかな空間でした。これをふまえて、ご入会を受け入れました。

☆信仰を伝えるタイミングについて

ご本人と相談の上、お相手に親交があることを伝えるタイミングは以下の2つ
 1,お見合いの結果報告時に、相談所からお相手相談所へ伝える
 2,仮交際に入ってから1ヶ月以内にご本人から、お相手に直接伝える

☆活動中に起きた反応とトラブル

1,最初の交際は理解あり
仮交際3回目のデートで信仰についてお話しされた際、お相手は「強制がなければ構わない」と受け入れてくれました。
しかし、将来の住居について意見が合わず、最終的に交際は終了。

2,立て続けの「お断り」
最初の男性に理解があったので、意外と大丈夫かも!と思い、お見合い後すぐに私たち相談所から伝える形をとったところ、立て続けにお断りを受ける結果に…。

・笑顔も素敵で印象は良かったですが、特定の宗教信仰があると聞いて不安になりました。良い方とは思いますが、今回は見送らせてください
・家族の反対が強くて…
というお断りの返事が多かったです。

クレーム事例1:40代男性検査技師
1,仮交際3回目デートで伝える
2,父親が開業医
3回目のデートで宗教信仰を伝えるのは卑劣だ!ネットで調べたら実家も分かってしまう、実家の財産が目的ではないか?何をしたいのか?などなど相談所を通じてかなりのクレームが入りました。また、今後一切の連絡遮断と接近禁止の念書依頼が入りました。

さすが少しひどい言いようではありました。しかし、当時は元安倍総理の事件後で統一教会2世問題も大きく取り上げられていたので、こういうトラブルは普段の生活でも多くあるのだろうと少し会員さまが可哀想にも思いました。
お相手相談所には、IBJのルール的には範囲内の適切な伝達タイミングだったので、伝えるタイミングが遅くなったことは謝罪し、入会前に会員さまと交わした約束を伝えて安心してくださいと返答しました。また、念書については、同じ立場であるのでこちらだけが念書を記載をするのはできない、男性側にも一切の連絡遮断と『今後、この女性につきまとわない』と、約束の念書を先に提出するよう求めました。結果的に今回は書かないことで決まりました。

クレーム事例2:ご家族からの反対
交際相手ご本人は理解を示してくれても、ご両親が過去の宗教事件を思い出し、結婚に反対されるケースが何度かありました。

お相手本人やそのご家族がお相手の相談所と話すことはできません。
ルールもありますので、お相手の方と私たち相談所が話すことはできないのですが、それでも、直接話したいとずっとおっしゃっていたようで、「なぜ隠して交際をさせていたのか?」と思われていたようです。
結婚は本人だけでなく、ご家族との付き合いもあるので、年配の方は特に『オウム真理教』のニュースも経験しているので反対される方が多かったです。

☆成婚へつながった出会い
活動開始から1年半ほど経ち、隣県にお住まいの30代前半男性(介護職)と出会いました。ご家族は他界されており、ご本人はご自身の信仰についても柔軟に受け止めてくださいました。

「周囲に勧誘しないなら、信仰を持っていても問題ないと思います」

仮交際から2回目のデートで伝えたところ、将来の子供、ママ友、ご近所様に勧誘しないことを約束してくれるなら本人の信仰をやめさせる理由はない。と、交際継続。
その後も順調に交際を続け、月に一度も会合出席も了承。
真剣交際、ご成婚になりました。
後から聞きましたが、ママ友への勧誘をしないでくれと言ってのは、孤立するのを心配したからだそうです。とても優しい男性でした。

☆信仰と婚活を考える中で
日本では特定の宗教を信仰しているというと、どうしても世間の偏見や誤解と向き合う必要がでてきます。その現実と向き合い、誠実な態度を貫くことで理解を得ることも可能です。
また、どんな背景を持つ方でも、それを理由にすべての出会いが閉ざされているわけではありません。立場や背景をしっかりと理解し最適なサポートを提供していかなければいけないと感じました。
さまざまな悩みを持つ方がいらっしゃると思います。これからもしっかりとサポートしてまいります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました